近年、ChatGPTをはじめとする生成AIが急速に進化し、ニュースやSNSでも「AIが仕事を奪う」といった言葉をよく耳にします。
実際、民間ではすでにAI導入によって効率化が進み、人員削減につながっているケースも少なくありません。
では、**安定の象徴とも言われる「公務員」**はどうでしょうか?
AIの普及によって「公務員の定数(人数)」が減らされる時代は来るのでしょうか?
この記事では、
- AIがどんな仕事を置き換えるのか
- 公務員の仕事はどう変わるのか
- これからの時代に必要とされる“人にしかできない力”
を、具体例を交えて解説していきます。
1. すでに始まっている「人員削減の波」
AIの話題が出ると「まだ先の話」と思う人もいますが、すでに私たちの生活の中で“人を減らす動き”は始まっています。
たとえば——
- コンビニのセルフレジ
- ファストフード店のタッチパネル注文
- 駐車場の自動精算機
- 銀行のオンライン手続き化
どれも人が対応していた業務を機械が代替するようになりました。
「お金のやり取り」や「決まった案内」は、人を介さずに完結するようになっているのです。
そして今、行政の窓口業務にも同じ流れが来ています。
たとえばマイナンバーカードや住民票のオンライン申請、AIチャットボットによる問い合わせ対応などが広がりつつあります。
つまり、公務員の仕事も“セルフ化”の波に直面しているのです。
2. 公務員の定数は本当に減るのか?
結論から言えば、「確実に減る方向」にはあります。
総務省の統計によると、すでに地方公務員の定数はここ10年で右肩下がり。
背景には「少子高齢化による人口減少」と「行政のデジタル化(DX)」があります。
AIやRPA(定型作業を自動化する仕組み)が導入されれば、書類チェックや入力業務、データ集計といった仕事は大幅に減ります。
つまり、「人がやらなくても回る仕事」は確実に削られていくということです。
3. AIに置き換わるのはどんな仕事か?
AIが得意なのは、明確なルールのもとで繰り返し行われる業務です。
公務員の仕事で言えば、次のような部分がAIに置き換わる可能性が高いです。
- データの入力・照合(ベリファイ)
- 書類の誤記チェック(ケアレスミス確認)
- 過去データに基づく判断補助
- 定型的な問い合わせ対応(チャットボット)
- スケジュールや進行管理の自動化
つまり、「正確さ」「スピード」「記録」が求められる部分はAIが得意分野です。
これまで“人の手”でやっていた作業の多くが、AIと自動化ツールに取って代わられるでしょう。
4. AIではできない「人にしかできない仕事」
しかし、AIにも明確な限界があります。
それは、「人の感情を読み取り、空気を感じ取る力」です。
たとえば——
- 市民が怒りや不安を抱えて窓口に来たとき、
- 相手の気持ちを汲んで言葉を選ぶ対応。
- 言葉にできない要望を“察する”力。
- 曖昧な状況から適切な判断をする力。
こうした「人間的な判断」「感情の理解」は、AIが最も苦手とする分野です。
むしろAIが発展すればするほど、「人にしかできない」心の通う対応がより価値を持つようになります。
5. AIは「人を減らす」ためのものではない
よく「AIで仕事がなくなる」と言われますが、正しくは——
AIは「人を減らす」のではなく、「人を助ける」ためにある。
ということです。
AIが単純作業を引き受けることで、人はより創造的で、人間らしい仕事に時間を使えるようになります。
つまり、「AIがやる部分」と「人間がやる部分」を明確に分ける時代になるということです。
公務員の現場でいえば、
- 事務処理や資料作成はAI
- 相談対応や現場判断は人間
というように、役割分担が進んでいくでしょう。
6. これからの公務員に求められる力
これからの行政職員に求められるのは、次のような“AI時代型スキル”です。
① AIやデジタルツールを使いこなす力
ExcelやWordだけでなく、AI補助ツールを活用して業務効率を上げる力が必要になります。
② 相手の立場を理解して寄り添う力
デジタルが進むほど、人間らしさ・誠実さ・共感力が価値を持ちます。
③ 問題を発見し、提案する力
AIは指示されたことしかできません。課題を見つけ、改善案を出すのは人間にしかできない仕事です。
7. 「AIに仕事を奪われる人」と「AIを使って価値を高める人」の差
同じ職場でも、AIを「敵」と見る人と、「味方」として使いこなす人で差がついていきます。
実際、今後3年で行政の現場にもAI導入が一気に進むと言われています。
AIを使える人は、
- 時間に余裕ができる
- ミスが減る
- 新しい仕事に挑戦できる
といった「質の高い働き方」にシフトしていきます。
逆に、AIを拒む人は、
- 同じ作業を繰り返すだけ
- 効率が悪く、残業が増える
- 置いていかれる
という未来になってしまいます。
8. まとめ:AI時代は「人の価値」が問われる時代
AIが進化することで、公務員の定数は確かに減る方向に進むでしょう。
しかし、それは「人の価値が下がる」ということではありません。
むしろ、「人にしかできないこと」に集中できる時代が来るのです。
AIが得意なことを任せ、私たちは「相手の気持ちを理解し、温かく接する」ことに力を注ぐ。
そうすることで、AIと人間が共存する新しい行政の形が生まれていきます。
9. 次のステップへ:3年で差をつけるには
もしこの記事を読んでいるあなたが、「AI時代に取り残されない公務員になりたい」と思うなら、
今からできることは3つあります。
- AIツールを一つ触ってみる(ChatGPTやCopilotなど)
- 定型業務を自動化する視点を持つ
- 人とのコミュニケーション力を磨く
この3つを意識して行動するだけで、3年後には確実に差がつきます。
AIを「脅威」ではなく「相棒」として使いこなす。
それが、これからの時代に求められる公務員の姿です。

